ピルビン酸キナーゼの役割
ピルビン酸キナーゼは、解糖系の代謝速度に関わる重要な酵素の1つです。
解糖系では、10回の反応で「グルコース」を「ピルビン酸」まで代謝するエネルギー供給系ですが、
その最後の10回目の反応で、「ピルビン酸」を作り出し、ATPを合成する反応を触媒するのが「ピルビン酸キナーゼ」です。
解糖系の代謝速度をコントロールしている酵素の1つ
解糖系の代謝速度は、3つの酵素によってコントロールされています。
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ヘキソキナーゼ
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ホスホフルクトキナーゼ(PFK)
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ピルビン酸キナーゼ
「ピルビン酸キナーゼ」は、その代謝速度をコントロールする酵素のうちの1つでもあります。
残念ながら解糖系の代謝速度に最も影響する酵素(律速酵素)は
「ホスホフルクトキナーゼ(PFK)」ですが、
ピルビン酸キナーゼも解糖系における重要な酵素であります。
ちなみに。
これら3つの酵素の共通点として「不可逆反応」を触媒していることがあります。
「可逆反応」は、反応前後の物質の濃度勾配によって受動的に行われるのに対して、
この3つの「不可逆反応」は逆戻りできないため、反応後の物質の濃度勾配を高くできます。そうなると、受動的な反応がストップします。
ピルビン酸キナーゼの活性と抑制
ピルビン酸キナーゼは、
- 「フルクトース1,6-ビスリン酸」と「K+」によって活性され、
- 「ATP」と「グルカゴン」によって阻害されます。
(※グルカゴンによる阻害は肝臓でのみ起こります。)
「フルクトース1,6-ビスホスホリン酸」は、ホスホフルクトキナーゼ(PFK)による反応の再生物質です。
つまり、PFKが十分に活性化されれば、ピルビン酸キナーゼも活性化されるようになっています。
これは、「フルクトース1,6-ビスホスホリン酸」が生成されているにも関わらず、ピルビン酸キナーゼが活性でないと、それ以降の反応が滞ってしまうからです。
そうなると、PFKの活性しているにも関わらず、
解糖系によってエネルギーを作れなくなってしまいます。
ピルビン酸キナーゼの種類
ピルビン酸キナーゼのアイソザイムには、
- 筋肉になどに多く存在する「M型」
- 肝臓などに多く存在する「L型」
など計4種類があります。